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  • Ena Fujita

瀬戸内海での思い出に残る地域との交流

旅行先での思い出は、高級ホテルへの宿泊や有名観光地での写真撮影よりも、何気ない地域の人との会話だったりしますよね。

高温多湿な日本の夏ですが、地中海のような穏やかな気候の瀬戸内海で、地域の人との交流を通じた心に残る時間を過ごしてみませんか?



無数の島々が連なる姿が特徴の瀬戸内海は、今も昔も多くの旅行者を魅了しています。

19世紀後半の1860年、明治維新後に瀬戸内海を訪れたドイツ人は、瀬戸内海を「これ以上のものは世界のどこにもない」と称賛しました。その旅行記の中で「the inland sea」という言葉を用いており、その翻訳語が瀬戸内海の由来と言われています。


瀬戸内海は、日本の中心地である京都や大阪と九州や中国などの国内外の地域を繋ぐ重要な海路であり、歴史的にも主要な交易の拠点でした。

18世紀中頃〜(江戸時代中期)明治30年には、大阪と北海道を繋ぐ北前船の交易が盛んに行われていたので、瀬戸内海の少雨温暖な気候と豊富な海水から製造される「塩」を中心に様々な生産物を国内地域に運んでいました。

 


今回は、瀬戸内海航路の中心地である広島県瀬戸田町(生口島)での、色濃い歴史と文化を通じた潮風の香りに包まれるひとときをお届けします。




旅行者と地域住民が交流する街 瀬戸田


瀬戸田がある生口島へは、広島市内から尾道まで電車で2時間弱、そして尾道からフェリーで40分ほどで瀬戸田に着きます。

瀬戸内海航路の重要拠点としての役割を担った瀬戸田港には、潮の流れを読みながら待つ船が集まり、「しおまちの港」として栄えました。

街には、耕三寺と瀬戸田港を繋ぐ参道として栄えた「しおまち商店街」がありますが、近年は少子高齢化や人口減少で担い手が不足し閉店するお店も少なくなかったそうです。


そんな中、製塩業や海運業で栄えた豪商・堀内家の築140年の邸宅を改装した旅館、Azumi Setodaが誕生しました。


商店街のすぐ側にあるAzumi Setoda

建物は当時の建築様式を継承しつつ、日本の伝統建築の手法・数寄屋造り用いて改装しており、客室は和の雰囲気を残しつつ、お風呂やベッドなどはモダンな作りで、一階と二階で異なる景色が楽しめます。


モダンな和洋室

この旅館は、旅行者と地域の人が交流できる瀬戸田を目指しています。


Azumiの支配人と地域商店街の会長曰く、このプロジェクトを行うにあたり、両者とも地域の良さを多くの人に伝えて観光地としての魅力を向上させ、地域コミュニティの活性化をさせたい、という気持ちがありました。そこで「どんな瀬戸田にしたいか」を両者で話し合い、「旅行者と地域住民が交流する瀬戸田」という答えに辿り着きました。


旅行者にとっても滞在の中で一番思い出として残るのは、「地域の人との交流」であり、その交流を生む仕掛けがたくさんあります。


Azumiに隣接するもう一つの旅館「yubune」は、宿でありながらも、銭湯とサウナがあり、地域の人々も使える施設なので、旅行者にとって地域との交流の場となっています。

食事場所としては、商店街のローカルなお店や地域食材を使った高級な炭火焼レストランを紹介し、食を通じた地域の人との交流を楽しめます。

アクティビティは、瀬戸田に魅力を感じ県外から移住してきた住民がガイドしており、彼らが運営する地域の魅力を体験できる街のリビングルーム「SOIL SETODA」でも地域と交流できます。

高校卒業後も地域に残りAzumi Setodaなどで働く地域の若者も多く、活気ある街作りやサービスの提供、旅行者への地元情報を伝えることで活躍しています。


yubuneの銭湯

島の暮らし体験や島民との交流を求め、国内外から多くの旅行者が訪れるようになり、

商店街の活性化や住民へのサービス提供、地域雇用創出など地域への貢献にも繋がりました。

地域と密接に関われる瀬戸田の魅力を感じながら、Azumi Setoda での贅沢な時間を過ごしてみませんか?


Soil Setoda


島間を走るしまなみ海道サイクリングツアー


瀬戸田での滞在中に楽しめるアクティビティとして人気なのが、島々を巡るしまなみ海道サイクリングツアーです。

サイクリストの聖地やナショナルサイクルルートとして世界的にも有名なしまなみ海道は、広島県尾道から愛媛県今治まで全長約70kmある道路です。

今回は、瀬戸田観光協会でレンタサイクルをし、多々羅大橋を渡り隣の大三島まで行き帰ってくる3時間コースを紹介します。




広島と愛媛の県境

瀬戸内海の島々や島アート作品を横目に海岸沿いの道を走り、日本初の国内レモン生産を始めた生口島のレモン農園に囲まれた道を抜けると多々羅大橋が目の前に現れました。


その大きな橋を自転車で駆け抜け、広島と愛媛の県境を越えていき、大三島につきました。












大三島やその隣の伯方島では、伝統的な塩田での自然塩作りが盛んでしたが、近代化により塩田は全廃され今はもう無いため、島の事業者が安心して食べられる塩を自分たちで製造しています。大三島工場では、製造方法の見学、再現された塩田の見学や、塩作り体験もできます。


隣の島へ自転車で簡単にアクセスでき、様々な島の魅力に触れられるのも瀬戸内海でのサイクリングツアーの魅力です。



アートを通してみる瀬戸田の魅力


瀬戸内海の島々の景色はアーティストをも魅了しており、様々な作品が島に残っています。

サイクリングツアー中は、たくさんの島アート作品を鑑賞しました。アートアイランドといえば直島ですが、実は瀬戸田にはより長い歴史があります。


眞板雅文「空へ」

1989年から開催されたアートプロジェクト「瀬戸田ビエンナーレ」によって設置された17作品がサンセットビーチ周りに多くあり、「島ごと美術館」と呼ばれています。


眞板雅文「空へ」や新宮晋「波の翼」など、想像力を掻き立てる作品が多く、様々な角度で見ると面白いです。作品の内容については、ぜひ島の人に聞いてみてください。






瀬戸田の魅力を絵に表現した代表的なアーティストは平山郁夫をおいて右に出る人はいません。瀬戸田出身である彼のコレクションが展示された平山郁夫美術館では、しまなみ海道の島々を結ぶ大橋の異なる時間の景色を描いた絵が多くあり、鮮やかな青と生い茂る山々の緑が特徴的です。島出身のアーティスト、その絵からは島に対する熱い想いを感じました。


平山郁夫 「瀬戸田の曼荼羅」

絵として残したい景色が沢山ある瀬戸田で、何も考えずその風景を眺めるだけの滞在を楽しみましょう。



今回の旅で、旅行者、旅館、地域への「三方良しな観光」を体現しました。

旅行者が旅館での贅沢な滞在や地域との交流を通じて思い出に残る時間を過ごすことで、旅行者にとっての高い満足度につながるだけで無く、結果的に地域活性化に貢献しています。

持続可能な地域社会が魅力的な観光地を作っているのです。国内外の人を魅了し惹きつける瀬戸田で、贅沢な時間を過ごしてみるのはいかがでしょうか。


Tricolageではこのような地域との交流ができる特別な旅をお届けすることができます。

是非、私たちと一緒にまだ経験したことのない旅へ出かけませんか?

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