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心を動かすアドベンチャートラベル:北海道弟子屈

Fumiko Yoshida

忙しい日常から離れて、自分の心をリセットする旅をしたいと思ったことはありませんか?そんなときに訪れてほしいのが、北海道東部に位置する弟子屈町。ここには、目を奪うような大自然の絶景と、そこに根付く文化や歴史、そして地元の人々の地域に対する想いが詰まっています。



日本最大級のカルデラ湖「屈斜路湖」、透明度の高さで知られる「摩周湖」、そして活火山「アトサヌプリ」。これらの自然が織りなす風景は、まるで地球そのものの息吹を感じさせるものです。私は今回、弟子屈での旅を通じて日々の喧騒を忘れ、心が澄み渡るような体験をしてきました。



弟子屈町はどんなところ

弟子屈町は、北海道の阿寒摩周国立公園に位置し、その65%が自然保護区域に指定されています。この地の象徴ともいえるのが、火山活動によって形成された屈斜路カルデラ。その中心には湖があり、周囲には阿寒火山群がそびえています。このエリアはアイヌの人々が古くから暮らしてきた地であり、アトサヌプリ(アイヌ語で「裸の山」)など、地名にもその文化が色濃く残っています。



また、弟子屈は単なる観光地ではなく、地域の自然を守りながら観光と共存する仕組みを模索し続けています。その一環として、2023年にはGreen Destinations Top 100に選ばれ、世界的にも評価される地域となりました。



旅の始まり、広がる大自然

釧路空港から車で約2時間。最初に訪れたのは、屈斜路湖を一望できる丘の上。地元でサステナビリティコーディネーターとして活躍する木名瀬さんが淹れたてのコーヒーとともにお出迎えしてくれました。


「ここが旅の始まりですー」


静かな湖面、透き通る青。そしてその向こうには、富士山を思わせる山がそびえ、日本の他のどんな場所でも見たことのない景色が広がります。


まず訪れたのは、「つつじヶ原自然探勝路」。ローカルガイドが植物を指さしながら、「このハイマツ、普通なら標高1,000m級の山でしか見られないんですよ」と説明してくれます。



ここはアトサヌプリの影響で低い場所でも育つのだそう。訪れた10月頃には、「ハナゴケ」という植物が綺麗に花開いていましたが、6月にはイソツツジで辺り一面が絨毯のように白い花を咲かせます。



森を抜けると視界が一気に開け、遠くには噴煙を上げるアトサヌプリの姿が。山肌がむき出しの部分と緑の植物が茂る部分。そのコントラストが印象的で、自然の力強さを肌で感じました。



アトサヌプリに近づくと、自然のものとは思えない鮮やかな黄色の美しい針状の結晶が見えます。これは、あたり一面に多くある噴気孔とともに「特定自然観光資源」に指定され、保護対象の資源となっています。かつて硫黄採掘で栄えたこの山は、今ではそのダイナミックな自然美を残し、地域に守られる貴重な資源となっています。




アトサヌプリトレッキング

翌日清々しい朝を迎え、今回の弟子屈での旅のハイライトであるアトサヌプリトレッキングツアーへ。昨日麓まで歩いたアトサヌプリに足を踏み入れる高揚感と、少しの緊張感を胸に、今日のガイドである由紀子さんと合流しました。



アトサヌプリのトレッキングツアーは、環境保全と観光振興を両立させる取り組みの一環として、てしかがえこまち推進協議会が計画・運営しています。環境への影響を最小限に抑え、安全対策をしっかりした上で質の高いトレッキング体験を提供できるよう「認定ガイド制度」を設け、この認定ガイドによるツアーのみが、アトサヌプリの特別エリアに入ることを許可されています。


いよいよトレッキングスタート。かつて鉱山として栄え、多くの労働者が集まっていた歴史と未だ残る痕跡ー、認定ガイドである由紀子さんに案内してもらいながら、森の中に入っていきます。

歩みを進めていくと、次第に岩肌の風景が荒々しさを増し、黄色に彩られた噴気孔から水蒸気が立ち上がる様子が広がります。少し近づくと、温泉が激しく沸騰している箇所がいくつもあり、まるで地球が息をしているかのようです。




少し息が切れてきた頃、山頂(人が歩ける最も高い地点)に到着しました。休憩をとりながら、由紀子さんはこう話します。


「1990年初頭までは、観光ブームでこの地は大変賑わっていました。しかし訪問者の減少とともに地域経済は停滞し、廃屋や環境悪化といった課題に直面し始めたのですー」


しかし、地域の人々は、かつての姿に戻りたいとは思いませんでした。守りたい地域の資源がある。訪れる人にとって自然や地域文化の本質に触れる体験を提供し、資源を守りながら経済循環を生み出せる観光を目指すー その一環で、このアトサヌプリツアーは開発されたのです。ツアー参加費の一部も環境保全や登山道の整備に充当されます。



ただ自然を楽しむだけの体験ではない、訪れることで地域に還元し、持続可能な観光の未来を支える一歩を踏み出せる旅行体験。旅行者としての責任と、地域が提供する価値ある仕組みを実感できるこのツアーは、まさに人と自然が共生するモデルケースだと感じました。


「さぁ、降りましょうか」



由紀子さんのかけ声で、麓へ続く道を進み始めました。その先には、昨日歩いたつつじヶ原自然探勝路、さらには屈斜路湖の湖面が見えます。改めて、大自然の中に自分が立っていることを実感しながら、ベースへ下っていきました。



釧路川カナディアンカヌーと美食

3日間の旅で最もエキサイティングだった瞬間といえば、釧路川でのカヌー体験でした。地元の自然に惚れ込んで移住したローカルガイドの案内で、ゆったりと川を進んでいきます。川の穏やかな流れに身を委ね、途中では温かなティータイムで一息。澄んだ水に羽をつけて休む鳥や、草木の後ろに動物の気配を感じながら、終盤を迎えます。するとゴール手前に出現した急流に全員が大興奮。ジェットコースターのような一瞬の冒険を全力で楽しみ、釧路川カヌー体験を終えました。



旅の締めくくりは、空港へ向かう途中に立ち寄ったログハウスのオーベルジュSoRa。ここでは、釧路や網走でその日仕入れた鮮魚や、北海道産和牛など、北の旬の味覚を惜しみなく使った創作料理が楽しめます。



広大な芝生の庭が広がるレストランで、料理人が腕をふるった一皿一皿に舌鼓。窓の外には自然の豊かさが広がり、視覚と味覚の両方で北海道を堪能できる特別な時間でした。


このレストランには宿泊も可能なゲストルームがあり、ゆったりとした滞在を求める人々に人気が高い場所です。


温泉と宿泊施設

オーベルジュSoRaの他にも、弟子屈にはユニークで素敵な宿泊施設がたくさんあります。


私が今回宿泊したのは、日本でも珍しい強酸性の泉質を持つ川湯温泉にあるお宿欣喜湯 別邸 忍冬。心も体もリラックスできる温泉で、館内にはラウンジがあり、一人でも家族でもゆっくり過ごすことができます。和牛の「硫黄山焼き」などこの土地ならではの日本料理を個室で楽しむことができるのも、この宿の魅力です。



WAKKANUPURIは1日1組限定の宿。部屋の大きな窓からは、屈斜路湖の美しい景色を独り占めすることができます。宿の横にある砂浜からはカヌーで湖に出ることもでき、弟子屈の自然をプライベートに楽しめます。お食事はプライベートのリビングダイニング棟で、その日の最高の食材を使った日本料理が提供されます。静かに弟子屈の贅沢な時を過ごしたい人にピッタリの宿です。



1日1組限定のスモールホテルで、森を眺めながらゆったりとした時間を楽しめるのは屈斜路湖温泉ホテル。何よりここはサウナ好きが一度は訪れたい屈斜路サウナ倶楽部に併設されており、宿泊ゲストは夜から朝の時間にかけて、好きなだけサウナを利用することができます。日中はサウナ施設としても利用できるので、宿泊をしなくても楽しめるのが人気の理由の一つです。



旅の終わりに

弟子屈で過ごした3日間は、私にとって心のリセットだけでなく、新しい視点を得る旅となりました。大自然の営みや地域文化の奥深さ、そして何より、地元の方々が地域を愛し、守り続けている姿勢に心を打たれました。


日々の喧騒を離れて自分を見つめ直したいと思うなら、弟子屈はぴったりの場所です。新しい自分に出会える旅が、きっとあなたを待っています。北海道には他にも、世界自然遺産の知床、パウダースノーのニセコ、ラベンダーの富良野など、魅力的な場所がたくさんあります。Tricolageと一緒に、人とは違う少し違う旅をしてみませんか?



気になった方は是非Tricolageにご連絡ください!私たちトラベルチームが、あなただけの大切な旅を一緒に創り上げます。


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