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  • Fumiko Yoshida

吉野の未知なる魅力:桜の先に広がる、吉野杉の世界

日本、その美しい四季の風景や独特の文化は多くの旅行者を魅了し続けています。Tricolage共同創業者の私、吉田が最近体験した吉野の旅は、それを更に深く、新たな角度から再認識させてくれるものでした。


ここは奈良県にある吉野町。奈良の中心地から電車で1時間、大阪や京都からm1時間半でアクセスできるこの地は、とてもゆったりとした時間が流れる静かな場所です。



吉野と言えば、真っ先に多くの人々が思い浮かべるのは、春に咲き誇る桜の絶景や、霊峰として知られる金峰山でしょう。この時期、多くの観光客がその美しさを目の当たりにするために吉野を訪れます。しかし、桜の花が散っても、吉野の魅力は尽きることはありません。その理由は、「吉野杉」にあります。


吉野に足を踏み入れた瞬間に鼻をくすぐる杉と檜の香り。この香りは、吉野の町そのものを象徴するかのようでした。




ワールドクラスの木材が吉野にある

吉野材は、日本国内の有名な寺社建築はもちろん、現在は海外の建築家たちからも注目されています。吉野材を世界に紹介し「日本の技術と美」をテーマに普及活動を行うICHI株式会社の山中氏に、吉野の森を特別に案内してもらいました。


徐に車を停めて「こちらです」と案内いただいた道の横にそびえ立つのは、高さ30メートルを超える杉や檜の木々。観光地も人の姿も無いこの静かな森に、厳かに、そして真っ直ぐに空へと伸びるその姿は、まるで天を目指すかのようです。私はその光景に心からの感動を覚えました。



吉野の杉は、その品質で世界から高い評価を受けています。しかし、その秘密は気候や風土だけにあるわけではありません。この地で古くから行われている「密植」という手法 ー 高密度に植林され、時間をかけて間伐されることで、質の高い木を残して育てていく方法 ー で、丁寧に計画的な育林を行なっています。驚くべきことに、一般的に杉の成長は数十年と言われますが、吉野では数百年という長いスパンで木を育てているのです。


古代裕一氏は、吉野杉の素晴らしさに魅了された世界で活躍する建築家の一人。広島県福山市にある神勝寺禅と庭のミュージアム《洸庭》を作った建築家として名を馳せる彼は、山中氏と共にYoshino Woodを世界に発信しています。



「吉野の木の伝統と持続可能性への取組は、私たちの使命ですー 」と古代氏。


伝統的な木工芸やアート、建築を通して、山の持続的な循環に繋げる試みは、今日本を超えて世界へ広がっています。



付加価値をつける場所

吉野神宮駅から歩いて5分のところに、吉野材が集まる場所があります。


私のガイドを務めてくれたのは、吉野の木にまつわる様々な情報を発信している吉川さん。製材所を案内しながら、吉野材がどのように暮らしにつながっていくか語ってくれました。


「製材所って、具体的にどんな場所だと思いますか?」


吉川さんの問いかけに、私は少し逡巡しました。その間を縫うようにして、彼は微笑みながら


「僕は、木に付加価値を付ける場所だと考えています」


と答えました。



原木から製品になるまで、製材所では約6つの工程があります。


職人は、1本1本を見極めてその木にあった製材をすることで、使っていくうちにわかる満足度の高い製品に仕上げていくと言います。そして端材はできる限り再利用し、一つの製品を作る過程で無駄になる木材をできる限り減らすことで、「1本1本の木を大切に使い切る」のだそう。



吉野の木に情熱と愛情を注ぐ彼らと出会い、私は自分の毎日の暮らしを改めて振り返りました。家や家具、いつも使う箸など、日々の生活に木は欠かせません。日常の裏側には、こんなにも豊かなストーリーで溢れているのかと、この旅で気付かされました。



コミュニティハウス「吉野杉の家」

吉野の木を回るツアーの後は、このユニークな宿にチェックイン。吉野川沿いに建つ吉野杉の家は、吉野材を体感するのにうってつけの施設です。吉野の杉や檜をふんだんに使い、日本の伝統的な建築技術と最新のデザインが融合したこの家は、実は建築だけが魅力なのではありません。



朝日が部屋に差し込んで、軒先には夜中に散歩していたのであろう、鹿の足跡が見えます。縁側でゆっくりコーヒーを飲みながら川を眺めていると、通り過がりの住民の方が挨拶をしてくれます。一人、またひとり ー 。そして次に声をかけてくださった方が、縁側の私のところへ朝食を持ってきてくれました。



この吉野杉の家は、地元の人々と訪問者が交流する場として建てられました。ここでは、コミュニティメンバーがホストとして出迎えます。単なる宿泊施設ではなく、地域の文化を学び、交流を楽しめるコミュニティハウスとしての機能を持っているのです。


コミュニティ基盤ツーリズムは、サステナブルツーリズムの一つの重要なあり方です。観光まちづくりについてのブログでご紹介しているように、観光を通して地域コミュニティの持続性を支えることができるのです。必ずしも「観光地」である必要はない、観光まちづくりという考え方。そしてその基盤となるコミュニティの協力があってこそ、持続可能な町が形成されていきます。



変革の旅

自らの足で森を歩き、自らの手で木材を触り、木の香りを感じて、地元の人と直接話をすることで、少しだけ吉野の暮らしに浸ることができました。たった1泊2日の滞在でしたが、日常の生活に戻った今、暮らしに存在するあらゆるものの見え方が少し違っているように思います。


旅は、その瞬間だけでなく、その後の生活、そして人生にも影響を与えることがあります。



思うように旅ができなかった2~3年間ー

人々は旅の大切さを再認識したのではないでしょうか。


ゆっくり吉野に訪れて、旅の醍醐味を感じてみませんか?


私たちは、日本での旅を有意義に、そしてサステナブルな形で提供しています。

まだまだ日本にはたくさんの魅力的な地域が存在します。


心に残る旅を体験したい人は、是非こちらからお問い合わせください。

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