大田区で過ごす一日
- Louise George Kittaka
- 7 日前
- 読了時間: 4分
大田区は羽田空港があるだけでなく、まだまだ知られざる魅力にあふれています。
今回は、その驚きに満ちた大田区の魅力を探る旅についてご紹介します。
舞台に静けさが訪れ、芸者の栄太朗が前へ進み、ゆったりと舞い始めます。扇子をしなやかに動かしながら一つひとつの所作を丁寧に重ね、優雅なリズムで歩みを進めるその姿は、まさに芸の極み。三味線の音色に合わせて舞う姿を、近くで座る若手芸者が真剣に見つめています。彼女にとって、経験豊富な「お姉さん」たちの芸は学びの宝庫です。

芸者文化との出会い
芸者の道は、17世紀にまでさかのぼる伝統芸能を何年もかけて磨き上げる、まさに修練の賜物です。中でも栄太朗は、日本で唯一の「女形(おんながた)」芸者。女性の装いで舞台に立つ男性芸者として、特別な存在です。彼は、明治時代に賑わった大森海岸駅近くにある置屋「まつ乃家」の二代目として、母の遺志を継ぎ活動しています。
栄太朗は置屋で育ち、小学生のころから芸事の修行を開始。若くして母を亡くした後、その伝統を守り続ける決意を固めました。日常生活では男性として暮らしていますが、舞台では「女形」として新たな視点から芸を披露しています。

この日、私たちは屋形船に乗って、東京のきらめく夜景とともに栄太朗やまつ乃家の芸者たちの芸を楽しみました。踊りや唄、伝統的な遊びを交えながら、芸者たちは観客と自然に交流し、質問に答えたり写真撮影にも快く応じてくれました。

「芸者(geisha)」とは「芸の人」という意味。唄、舞踊、茶道、三味線など多岐にわたる芸を極め、美しい着物で客人をもてなします。かつては富裕層向けの閉ざされた世界でしたが、最近では栄太朗のように、広く文化を伝えようとする芸者も現れています。

創造性が花開くまち、大田区
大田区には、アジア最大級の花と野菜の市場「大田市場」があり、フローラルアーティスト集団「Dodotokyo」も拠点を構えています。栄太朗は、地域文化の魅力を伝える活動の一環として、Dodotokyoが手がけた「ドド染め」の扇や提灯を使って舞台に立っています。
私たちもDodotokyoのスタジオを訪れ、ドド染め体験を通してその物語を知ることができました。
Dodotokyoのアトリエは、羽田空港と大田市場の間に位置する人工島・京浜島にあります。かつては多くの工場があり、産業発展の一翼を担った場所ですが、近年は廃棄物処理業者が増え、「ゴミの島」とも呼ばれるようになっています。

この状況に対し、Dodotokyoは「花とアートの島」へと再生させるべく、アトリエで大田市場の花を使った作品を制作。廃材のアップサイクルを取り入れたサステナブルな作品は、結婚式や企業イベントでも好評を博しています。
伝統と革新の融合を掲げるDodotokyoでは、100%国産藁で作られた縁起物「しめ縄宝船」に花や装飾をあしらうワークショップも実施。人生の節目を祝う贈り物として人気だそうです。また、私たちも扇に絵を描くドド染め体験に挑戦。筆や割り箸を使い、自分だけの模様を描きました。栄太朗の舞で使われている扇子と同じ手法で、特別な体験となりました。

旅立ちの前に祈りを込めて
大田区といえば、やはり羽田空港。しかし、空港近くには、旅の安全を祈願できる美しい神社があることをご存知ですか?「穴守稲荷神社」は、赤い鳥居が連なるフォトジェニックな場所で、稲荷の狐神を祀っています。境内のあちこちにキツネのモチーフが見られるのも特徴です。
この日は、神職の方の案内で参拝。通常では気づかないような隠れた見どころや、神社の由来について丁寧に教えていただきました。

大田区探訪の締めくくりは、羽田空港の舞台裏を覗ける「JAL SKY MUSEUM」へ。2013年にリニューアルオープンしたこの施設では、日本航空の歴史資料やインタラクティブな展示があり、パイロットや客室乗務員の制服を着て記念撮影も楽しめます。

その後、特別に手配された格納庫ツアーへ。JALのスタッフがガイドとして案内してくれました。飛行機に間近で接するこの体験は、飛行機ファンだけでなく誰にとってもわくわくするひとときです。日頃見られない航空業界の裏側に触れ、大田区での一日はさらに思い出深いものとなりました。

ツアーに参加する
この特別なツアーのご予約は、予約ページにアクセスし、専用フォームより希望日など必要事項を入力してください。オーダーメイド型ツアーのため、複数の日程候補をお知らせいただく形になります。ご希望に応じて、空き状況を確認後、詳細をご案内いたします。

* 必ずしも格納庫に飛行機が駐機しているとは限りません。
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